■ 概念
補脾益腎とは、脾を補い、腎を益することで、気血生化と精の生成を強化し、生命活動の基盤を回復させる治法である。
脾は気血生化の源、腎は先天の本とされ、脾腎両虚になると疲労、冷え、腰膝無力、浮腫、排尿異常、下痢など多彩な症状が現れる。
補脾益腎は、脾腎不足による慢性虚弱症状や老化、慢性疾患後の衰弱などに応用される。
■ 目的
- 脾の運化・気血生化を促進する
- 腎精と腎陽(または腎陰)の不足を補う
- 気化作用を改善し、排尿や水液代謝を調える
- 全身の気力・体力・生命活動を補強する
■ 主な適応(主治)
- 慢性疲労、気力低下、倦怠感
- 食欲不振、下痢、軟便、むくみ
- 腰膝酸軟、足腰の弱り
- 頻尿・夜間尿・尿漏れ
- 不妊・性機能低下・発育遅延
- 老化症状、病後・術後の回復不良
■ 病機(病理の要点)
脾虚により気血生化が不足し、腎精の生成が乏しくなると腎が弱り、逆に腎虚により先天之本が弱くなると脾の後天之本を支える力が低下し、互いに悪循環となる。
そのため脾腎を同時に補うことで、身体の根本的な回復を図る。
■ 主に用いる生薬(作用別)
■ 代表的な方剤
- 八味地黄丸(腎陽虚の代表方)
- 補中益気湯 + 腎陽を補う薬味の加減
- 六味地黄丸(腎陰虚を補う方剤)
- 参苓白朮散(脾虚と湿盛)
- 右帰丸・左帰丸(重度の腎虚に)
■ 臨床的応用ポイント
- 脾腎両虚は慢性化しやすいため、徐々に補う治法が必要となる。
- 寒が強い場合は温陽薬を併用し、陰虚熱象がある場合は滋陰清熱の調整を加える。
- 浮腫や痰湿が著しい場合は利水化湿薬を併用する。
- 疲労倦怠が主症の場合、補脾を優先し、腎虚が強ければ補腎を重視する。
■ 使用上の注意
- 実証や湿熱が強い場合は、単純な補法は避ける。
- 高熱や炎症急性期には適さず、急性期治療後に用いる。
- 慢性疾患の場合は長期的な視点で使用する。
■ まとめ
補脾益腎は、脾腎両虚による慢性的な虚弱状態を改善し、生命力と体力を回復させる基本的な治法である。
補脾・補腎・温陽・滋陰などを病機に応じて組み合わせることが臨床成績向上の鍵となる。
0 件のコメント:
コメントを投稿