気閉(きへい)とは、体内の気機(気の昇降出入)が急激に閉塞し、気の運行が阻まれることで、意識障害や急激な症状を引き起こす病機を指します。
外邪(風・熱・痰など)や強い情志刺激、痰濁の上擾などによって清竅が閉ざされ、清陽が上達できず、神明が一時的に閉塞されることで発生します。
主に突然の意識障害・昏倒・牙関緊閉・呼吸粗大などの急症として現れ、伝統医学では「閉証(へいしょう)」として扱われます。
気閉は虚脱(脱証)と対になる概念であり、脱証が「正気の虚脱」による意識喪失であるのに対し、気閉は邪実による閉塞が中心となります。
そのため、閉証では顔色が比較的紅潤し、呼吸や体温が保たれることが多いのが特徴です。
主な原因としては、次のようなものがあります。
- 痰濁内閉(痰が上擾して清竅を塞ぐ)
- 熱邪内閉(温病・高熱などによる神明の閉塞)
- 強い情志刺激(怒・驚などによる気機逆乱)
- 中風(風痰が脳竅を閉塞)
- 穢濁之気(毒気・悪臭などの刺激)
主な症状としては、次のようなものがみられます。
- 突然の昏倒・意識障害
- 牙関緊閉(歯を食いしばる)
- 四肢強直
- 呼吸粗大・喘鳴
- 顔面紅潮または蒼白
- 痰声(喉に痰が絡む音)
- 脈弦滑・脈数など
治法としては、閉塞した清竅を開き、気機の通達を回復させることを目的とし、次のような方法が用いられます。
代表的な関連病証には、次のようなものがあります。
このように気閉は、気の運行そのものが不足しているのではなく、邪実によって「閉ざされて通らない状態」を意味します。
したがって臨床では、同じ意識障害であっても気閉(閉証)か、気脱(脱証)かを見極めることが極めて重要とされます。
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