大腸血虚とは

大腸血虚(だいちょうけっきょ) とは、血の不足により大腸が滋養を失い、腸道の潤いが欠けて便の通りが悪くなる病態です。
血は津液を生じ腸を潤す源であるため、不足すれば便秘や乾燥便が生じ、顔色不良や動悸・めまいなどの血虚症状を伴うことが多いです。


原因

  • 久病耗血: 慢性病や長期の出血により血が不足する。
  • 飲食不摂: 栄養不足や偏食で気血の生成が乏しくなる。
  • 過労・思慮過度: 脾胃を損傷し、気血の生化不足を招く。
  • 加齢: 年齢とともに血が衰え、津液不足となる。

主な症状

  • 便秘(兎糞状便や乾燥便)
  • 排便困難、排便時に力む
  • 顔色蒼白または萎黄
  • めまい、動悸
  • 唇や爪が淡色
  • 皮膚の乾燥

舌・脈の所見

  • 舌: 舌質淡または淡紅、苔少
  • 脈: 細弱

代表的な方剤

  • 潤腸湯(じゅんちょうとう): 血虚による便秘を改善する代表方剤。
  • 四物湯(しもつとう): 血虚を補いながら津液を生じる基本方剤。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん): 血虚とともに冷えや水湿がある場合に用いる。

養生の考え方

  • 栄養バランスの良い食事をとり、血を補う(黒ごま、棗、ほうれん草、レバーなど)
  • 過度な思慮や労働を避け、脾胃の負担を軽減する
  • 適度な休養と睡眠をとり、血の生成を助ける
  • 軽い運動で血流を促進し、腸の働きを助ける

まとめ

大腸血虚とは、血の不足により大腸が滋養と潤いを失い、便秘や乾燥便を引き起こす病態です。
治療・養生の基本は「養血潤燥」「健脾益気」であり、血の生成を促し大腸を潤すことが重要です。

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