寒邪(かんじゃ) とは、東洋医学における「六淫(ろくいん)」のひとつで、自然界の「寒さ」の性質を持つ外邪です。
体内に侵入すると冷えや収縮の作用を引き起こし、痛みや機能低下をもたらします。
寒邪の性質
- 寒冷: 体を冷やし、陽気を損なう
- 収引: 筋肉や血管を縮こませ、こわばりや痛みを生じる
- 凝滞: 気血の流れを停滞させ、循環を妨げる
寒邪による主な症状
- 強い悪寒、手足の冷え
- 体がこわばる、動かしにくい
- 関節や腹部の冷痛(温めると軽減する)
- 下痢、水様便
- 尿の量が多く透明
寒邪が関与する病理
- 風寒: 風邪と寒邪の組み合わせで、悪寒・頭痛・鼻水が目立つ
- 寒湿: 寒さと湿気で冷え・重だるさ・関節痛を起こす
- 寒凝血瘀: 寒さで血流が滞り、刺すような痛みや生理不順
寒邪に対する治療の方向性
寒邪の治療は 温めて散らすこと(温散) が基本です。
鍼灸では「関元」「中脘」「足三里」「命門」など温める経穴を用い、
漢方薬では「麻黄附子細辛湯」「真武湯」「桂枝湯」などが代表的です。
日常生活でも、冷たい飲食を避け、衣服で保温することが大切です。
まとめ
寒邪とは、自然界の寒さが体に侵入して陽気を損ない、冷えや痛みを引き起こす外邪です。
収縮や停滞の性質を持ち、下痢や冷痛、関節のこわばりとして現れます。
治療は温めて邪を散らし、体の陽気を守ることが中心となります。
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