概念
活血通便(かっけつつうべん)とは、血行を促進して腸の潤滑と蠕動を助け、瘀血や血虚による便秘を改善する治法である。 便秘の原因のうち、特に血行不良や瘀血停滞によって腸管の機能が低下し、 大便が乾結して排出されにくくなる場合に適用される。 また、血虚による腸燥にも応用し、血を補いながら通便を促すこともある。
所属
活血化瘀法および潤下法の一分法。
効能
主治
- 血虚・瘀血による便秘
- 老人・産後・慢性病後の便秘
- 腹部膨満・疼痛・顔色暗滞・唇舌紫暗
- 月経閉止・月経遅延を伴う便秘
- 痔出血・直腸炎など瘀血性の腸疾患
病機解説
瘀血が腸絡に滞ると、血行が阻滞して津液の滋潤が失われ、 腸燥・便秘・腹満・疼痛を呈する。 また、血虚では腸管に栄養が行き届かず蠕動が弱まる。 したがって治療では、活血化瘀によって腸絡を通じ、同時に潤腸薬や補血薬を配合して通便を助ける。
代表方剤
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう):瘀熱結滞による便秘・腹痛・月経閉止。
- 潤腸丸(じゅんちょうがん):血虚腸燥による便秘。養血潤腸と通便を兼ねる。
- 調胃承気湯(ちょういじょうきとう):燥熱や瘀血による便秘に用い、やや緩和。
- 麻子仁丸(ましにんがん):陰血不足・腸燥便秘に適応。潤下作用を併せ持つ。
- 当帰芍薬散+桃仁・紅花:血虚瘀滞による月経遅延・便秘に応用。
応用
- 慢性便秘(特に老人性・虚証性)
- 痔疾・直腸炎・子宮後屈に伴う便秘
- 月経不順・更年期障害に伴う便秘
- 脳卒中後の排便障害・便秘性頭痛
使用上の注意
- 虚証では強い下剤を避け、潤腸・補血薬を主とする。
- 実熱便秘では清熱瀉下薬を併用する。
- 妊婦には駆瘀血薬の使用に注意する。
- 便秘が解消後も血行改善を継続し、再発を防ぐ。
まとめ
活血通便法は、瘀血を除き血流を促して腸を潤し、便秘を改善する治法である。 血虚や瘀血に由来する慢性便秘・産後便秘・老人性便秘に有効で、 代表方剤は桃核承気湯・潤腸丸・麻子仁丸など。 活血と潤腸を兼ねて施すことが臨床上の要点である。
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