■ 概念
通乳とは、乳房の経絡および気血の運行を疏通させ、乳汁の分泌を促進する治法です。
乳汁の生成と排出には、気血の充足と経絡の通暢が必要であり、気滞・血瘀・痰阻・肝鬱などにより乳房に鬱滞が生じると、乳汁不足、乳房張痛、乳汁不通などが現れます。
通乳法は、乳汁の流通を改善し、乳房の腫れ・痛み・乳汁分泌障害を改善します。
■ 目的
- 乳汁の分泌を促す
- 乳房内の経絡・気血の停滞を改善する
- 乳房の腫れ・張り・痛みを緩和する
- 産後の乳汁不足の改善
■ 適応
- 乳汁分泌不足(産後)
- 乳汁不通(乳腺の詰まり)
- 乳房腫脹・熱痛(気滞・血瘀・熱毒)
- 乳腺炎の初期(証に応じて併用治法調整)
■ 使用される代表的な薬物
- 王不留行(おうふるぎょう)
- 通草(つうそう)
- 漏蘆(ろうろ)
- 柴胡(さいこ)
- 当帰(とうき)
- 麦芽(ばくが)
- 枳殻・枳実(きこく・きじつ)
■ 備考
通乳は単独ではなく、補血・疏肝理気・清熱解毒・活血通絡などと組み合わせて使用することが多い治法です。
証が異なれば処方選択も異なり、乳汁不足が虚証によるものか、鬱滞による実証かの鑑別が重要となります。
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