湿熱下迫とは

■ 概要

湿熱下迫とは、湿と熱の病邪が体内で鬱結し、下焦（下腹部・膀胱・生殖器系）に迫ることで生じる病証を指します。
湿の粘滞性と熱の炎上・灼熱性が結びつき、尿や帯下の異常、下腹部の痛みや灼熱感を呈することが特徴です。

■ 主な症状

• 下腹部の張りや痛み・熱感
• 排尿時の灼熱感・尿道痛・尿意頻数
• 尿が濁る・黄色く粘る・臭いが強い
• 帯下が黄色で粘稠、悪臭を伴う
• 陰部の痒み・腫れ・湿疹
• 大便が粘りスッキリ出ない
• 口苦、口粘、身重、倦怠感
• 舌：紅、苔黄膩　／　脈：滑数または濡数

■ 病因

• 湿熱邪の侵襲（暑湿・環境高湿・雨濡れ）
• 辛辣・油もの・甘い物・アルコール過多
• 外陰部の不衛生・湿気の多い衣類
• 怒り・ストレスによる肝鬱化火→湿と結合
• 長期の湿邪停滞により熱が生じる

■ 病理機転

• 湿重濁滞 → 気機阻滞して尿利不利・帯下増加
• 熱が結し灼熱 → 排尿痛・尿道熱感・黄濁
• 湿熱が下焦に迫る → 会陰部・下腹部の不快感
• 肝胆の疏泄不利 → 下焦の鬱熱が増悪

■ 治法

清熱利湿・通淋止痛・瀉火解毒

■ 代表的な方剤

• 竜胆瀉肝湯：湿熱が肝胆～下焦を迫る
• 八正散：排尿痛・尿濁・尿少に
• 導赤散：小便赤く灼熱し痛む
• 五淋散：淋証（排尿痛・尿意頻数）
• 易黄湯：黄色帯下粘稠

■ 弁証の要点

• 排尿痛・尿道熱感・尿黄濁
• 帯下黄・粘稠・悪臭
• 舌苔黄膩
• 脈滑数または濡数