調心行血とは

【概要】
調心行血とは、心の機能（心気・心血・心神）を調えながら、血行を促進して瘀血や循環障害を改善する治法です。
心は血脈を主り、神を蔵するため、心気・心血の失調は血行不良や精神不安を同時に引き起こします。本法は精神面と循環面の双方に働きかける点が特徴です。

【作用】

• 心気・心血の働きを調整し、血脈の運行を円滑にする
• 瘀血を除き、胸部や末梢の血行障害を改善する
• 心神を安定させ、動悸・不安感を軽減する
• 精神的緊張による血行停滞を和らげる

【適応症状】

• 動悸・胸悶・胸部圧迫感
• 不安感・焦燥・情緒不安定
• 冷えを伴う血行不良
• 刺すような胸痛・違和感（軽〜中等度）
• ストレスで悪化する循環・精神症状

【代表的な病機】

• 心気虚・心血虚に血行不暢を伴う状態
• 気滞血瘀による心脈阻滞
• 情志失調による心血運行障害
• 久病・加齢による心血失調

【用いられることの多い方剤・治法（参考）】

• 血府逐瘀湯（胸部瘀血・胸悶・不安）
• 桂枝茯苓丸（瘀血体質・循環障害）
• 炙甘草湯（心気血両虚・動悸）
• 活血化瘀薬＋安神薬の併用

【併用される治法】

• 理気調血
• 活血化瘀
• 寛胸安神
• 養心安神