寛胸安神とは

【概要】
寛胸安神とは、胸中の気滞・痰阻を取り除いて胸を開き（寛胸）、心神を安定させて精神的緊張や不安を鎮める治法です。
情志失調や痰気鬱結により生じる胸悶・息苦しさ・動悸・不安感・不眠など、心肺・心包系の気機不暢を背景とする症状に用いられます。

【作用】

• 胸中の気滞・痰阻を除き、胸悶・圧迫感を緩和する
• 心神を安定させ、不安・焦燥・緊張感を鎮める
• 心包・肺の気機を調え、呼吸と情緒を安定させる
• 精神的ストレスによる自律神経様症状を改善する

【適応症状】

• 胸悶・胸部圧迫感
• 動悸・不安感・恐怖感
• 不眠・浅眠・多夢
• 息苦しさ・深呼吸しづらい感じ
• ストレスで悪化する精神・身体症状

【代表的な病機】

• 気滞痰阻による胸陽不展
• 情志内傷による心包気鬱
• 痰熱内擾による心神不寧（軽〜中等度）
• 心気虚に気滞を伴う胸部不快

【用いられることの多い方剤・治法（参考）】

• 半夏厚朴湯（胸悶・咽のつかえ・不安）
• 温胆湯（痰熱・不安・不眠）
• 加味逍遙散（情志失調・胸脇苦満）
• 理気・化痰・安神薬の併用

【併用される治法】

• 宣胸理気
• 調気安神
• 化痰開結
• 調和心包