📘 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方剤名 | 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) |
| 出典 | 『金匱要略』 |
| 分類 | 活血化瘀剤・理血調経剤 |
| 保険適用エキス製剤 | 桂枝茯苓丸(ツムラ25、クラシエ25など) |
| 構成生薬 | 桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬 |
🧭 方意(効能と主治)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 効能 | 活血化瘀、理気調経。 |
| 主治 | 瘀血による月経不順、月経痛、肩こり、のぼせ、頭重、顔面のしみ、肌荒れ、下腹部抵抗・圧痛など。 体力中等度で血行が悪く、冷えと熱が錯雑する状態。 |
| 病機 | 瘀血内停により血行が滞り、気機の流れも阻害される。 桂枝で血行を促し、桃仁・牡丹皮で瘀血を去り、茯苓で水湿を除き、芍薬で血を養い和する。 |
| 現代的適応 | 子宮筋腫、月経困難症、月経不順、子宮内膜症、更年期障害、冷えのぼせ、慢性頭痛、肩こり、肌のくすみ、にきびなど。 |
🌡 臨床的特徴
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 使用目標(証) | 体力中等度。 下腹部に抵抗・圧痛があり、冷えと熱の両方を訴える。 月経不順・月経痛・顔面の赤みやしみなどを伴う。 |
| 体質傾向 | 瘀血体質(血行不良・顔色暗い・唇が紫がかる)。 下腹部が硬く張る。冷えのぼせや肩こりが多い。 |
| 舌診 | 紫舌または暗赤舌、瘀斑、舌下静脈怒張。 |
| 脈診 | 弦または渋。 |
💊 構成生薬と作用
| 生薬名 | 主要作用 |
|---|---|
| 桂枝 | 温通経脈、行気活血。 |
| 茯苓 | 健脾利水、除湿。 |
| 牡丹皮 | 清熱涼血、活血化瘀。 |
| 桃仁 | 破血祛瘀、潤腸通便。 |
| 芍薬 | 養血柔肝、止痛調経。 |
🩺 現代医学的な理解
- 血液循環促進作用(末梢血流改善)。
- 子宮平滑筋弛緩作用、ホルモン調整作用。
- 抗炎症・抗酸化作用による皮膚・婦人科疾患の改善。
- 自律神経の安定化により更年期症状を緩和。
⚠️ 使用上の注意
- 体力が極端に低下した人(虚証)には不向き。
- 出血傾向、抗凝固薬服用中は注意。
- 妊娠中は原則として避ける(流産の恐れあり)。
💬 臨床応用例
- 月経不順・月経痛・更年期障害。
- 子宮筋腫・子宮内膜症。
- のぼせ・肩こり・頭重感。
- 肌のくすみ・しみ・にきび。
- 血行不良による冷えや痛み。
🌱 類方鑑別
| 比較方剤 | 相違点 |
|---|---|
| 桃核承気湯 | より実証で、便秘を伴う瘀血に適す。 |
| 当帰芍薬散 | 冷えが強く、貧血傾向のある虚証タイプに適す。 |
| 加味逍遙散 | 情緒不安・イライラ・のぼせが中心の肝鬱血虚タイプ。 |
| 温経湯 | 冷えと血虚・瘀血が入り混じり、月経不順が長期に続く場合。 |
📖 メモ
- 「瘀血を去る」代表的な処方。婦人科疾患・慢性疾患に広く応用される。
- 桂枝湯系の温通作用と、桃仁・牡丹皮の活血化瘀作用を併せ持つ。
- 顔色が暗く、舌が紫、下腹部が張るタイプに適す。
- 冷えのぼせ・頭痛・肩こり・月経痛など、血流停滞による諸症に有効。
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