痰阻心脈とは

痰阻心脈(たんそしんみゃく) とは、痰濁が心脈を阻滞し、心気や血脈の運行を妨げることで、胸悶・動悸・胸痛などを生じる病証です。
痰は湿から生じ、粘稠で停滞しやすく、血脈を塞ぐと「気血痰三者の互いの阻滞」により循環が滞ります。特に胸部に症状が現れやすく、狭心症や動悸、心不安などに関連づけられます。


原因

  • 脾虚失運: 脾の運化失調により痰湿が形成され、心脈に滞る。
  • 飲食不節: 脂っこい物や甘味の過食により痰濁が増生する。
  • 情志失調: 気滞が痰の停滞を助長し、心胸の血脈を阻む。
  • 久病体虚: 気虚により運行力を失い、痰濁が心脈に停滞する。

主な症状

  • 胸悶、胸部の圧迫感
  • 胸痛(固定性、発作性)
  • 動悸、心悸亢進
  • 痰が多く、咽に詰まる感じ
  • 息切れ、呼吸困難感
  • 顔色が暗滞し、四肢倦怠
  • 不安感や焦燥感

舌・脈の所見

  • 舌: 舌質胖大または暗紫、苔は白膩または黄膩
  • 脈: 滑または濇

代表的な方剤

  • 瓜蔞薤白半夏湯(かろうがいはくはんげとう): 痰濁が心胸を阻滞して胸悶・胸痛を呈する場合。
  • 瓜蔞薤白白酒湯(かろうがいはくはくしゅとう): 痰と気滞による胸痺に用いる。
  • 二陳湯(にちんとう): 基本的な痰湿の化痰方。

養生の考え方

  • 脂肪分や甘味の多い食事を控える
  • 規則正しい生活で脾胃の健運を保つ
  • 適度な運動で気血の流れを促進する
  • ストレスを減らし、気機の阻滞を防ぐ

まとめ

痰阻心脈とは、痰濁が心脈を阻滞して胸悶・胸痛・動悸などを引き起こす病証です。
治療の基本は「化痰通陽・理気活血」であり、痰濁を除き血脈の流れを改善することが重要です。

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