概念
滋腎補陰(じじんほいん)とは、腎陰を滋養し、腎精を補うことで陰虚による症状を改善する治法である。 腎陰不足により、体内の水液が不足し、虚熱や潮熱、腰膝酸軟、眩暈、耳鳴などが生じる。 滋腎補陰法は、腎陰を充実させて陰虚を改善し、虚熱や乾燥症状を軽減することを目的とする。
所属
補腎法に属し、特に腎陰虚・腎精不足による腰膝酸軟、耳鳴、眩暈に応用される。
効能
- 腎陰を滋養し、腎精を補う。
- 腰膝酸軟、耳鳴、眩暈を改善する。
- 虚熱、潮熱、手足のほてり、口渇を軽減する。
- 腰背のだるさ、疲労倦怠を緩和する。
主治
病機
加齢、慢性病、過労などにより腎陰が不足すると、腎精が損なわれ、陰虚内熱が生じる。 滋腎補陰により腎陰を充実させ、陰虚による虚熱や腰膝酸軟、耳鳴・眩暈などの症状を改善することが治療の要点である。
代表方剤
- 六味丸(ろくみがん):滋腎補陰・養肝腎。腎陰虚による腰膝酸軟、眩暈、耳鳴に用いる。
- 左帰丸(さきがん):滋腎補陰・補血養精。腎陰虚による骨蒸潮熱、腰膝酸軟に適す。
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん):滋腎降火・補陰清熱。腎陰虚の虚熱症状、手足のほてり、盗汗に用いる。
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん):滋腎補肝・明目。腎陰虚による目のかすみ、眩暈、耳鳴に応用。
- 六味丸加味(ろくみがんかみ):腎陰をさらに補い、虚熱・腰膝酸軟の改善に適する。
臨床応用
- 腰膝酸軟、慢性腰痛、下肢無力。
- 眩暈、耳鳴、記憶力低下。
- 手足のほてり、潮熱、盗汗、口渇。
- 虚弱体質や加齢による腎陰不足の改善。
使用上の注意
- 腎陰虚と腎陽虚を区別し、陽虚が目立つ場合には温補薬を加えない。
- 消化機能が弱い場合は健脾薬を併用し、陰液の供給を補助する。
- 熱性疾患や湿熱内盛には適さない。
まとめ
滋腎補陰法は、腎陰・腎精を補い、陰虚による虚熱や腰膝酸軟、耳鳴・眩暈などを改善する治法である。 代表方剤は六味丸・左帰丸・知柏地黄丸・杞菊地黄丸などで、腎陰虚の程度や症状に応じて加減する。 腎陰を滋養し、陰虚による虚熱や症状を改善することが治療の要点である。
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