益気回陽とは

概要

益気回陽（えっき かいよう）は、久病や虚労、あるいは急性の虚脱により、気虚と陽虚が同時に極まった病態に対して、気を大いに補いながら陽を回復させる治法である。特に四肢厥冷・微弱脈・精神萎靡などの「気陽欲脱」に用いられる。

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主な適応症状

• 四肢冷え・顔面蒼白
• 倦怠・息切れ・言語微弱
• 自汗・下痢清穀・小便清長
• 脈微細欲絶、舌淡胖・白滑苔
• 極度の虚弱・虚脱状態

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主な病機

• 久病虚労 → 気虚＋陽虚 → 気陽両虚
• 大病・大汗・大失血 → 気随陽脱 → 回陽不支
• 腎陽衰微 → 命門火衰 → 気陽欲脱

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主な配合法

• 益気回陽＋回陽救逆：四肢厥冷・脈微欲絶などの危重証
• 益気回陽＋温腎助陽：腎陽衰微による下痢・冷えが著しい場合
• 益気回陽＋益気固脱：大汗・大出血後の気脱・陽脱の予防
• 益気回陽＋健脾益気：脾気虚が基礎にあり、運化不健の場合

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代表的な方剤

• 参附湯：人参で益気、附子で回陽し、気陽双補の要方。
• 回陽救急湯：附子・乾姜・人参などで急迫の陽虚欲脱に。
• 四逆加人参湯：四逆湯に人参を加え、益気と回陽を兼ねる。

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臨床でのポイント

• 気を補う薬（人参・黄耆など）と、回陽薬（附子・乾姜など）を併用するのが基本。
• 「気虚が陽を推動できず、陽虚が気を固摂できない」状態を改善する。
• 重篤な虚脱や危急症に応用されるが、証を誤らないよう注意が必要。
• 寒証が強い場合は温補薬を増やし、出血や大汗後には固脱薬を配合する。

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まとめ

益気回陽は、気虚と陽虚がともに極まり、生命活動が危機に瀕した病態に有効な治法である。参附湯をはじめとする方剤が代表的であり、益気と回陽を同時に行うことで、虚脱状態を救済する。