治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)

📘 基本情報

項目内容
方剤名治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)
出典《経験方》など(近世日本の経験方)
分類活血祛瘀剤(かっけつきょおざい)
構成生薬 川芎(せんきゅう)・桃仁(とうにん)・紅花(こうか)・大黄(だいおう)・甘草(かんぞう)
方名の由来 「打撲(だぼく)を治す」ための方剤という意味で、打撲・捻挫・骨折・外傷などによる腫脹・疼痛・内出血を改善することからこの名がつけられています。


🧭 方意(効能と主治)

区分内容
効能活血化瘀(血の滞りを取り除く)・消腫止痛(腫れと痛みを鎮める)。
主治 打撲・捻挫・骨折・筋肉痛・腫脹・出血・疼痛・皮下出血など。
急性の外傷に用いられ、痛み・腫れ・内出血を改善します。
病機 打撲や捻挫などの外傷によって気血の流れが滞り、「瘀血(おけつ)」が生じて疼痛・腫脹・内出血が発生する。これを活血・化瘀することで治療します。


💊 構成生薬と作用

生薬主な作用
川芎(せんきゅう)血行を促進し、痛みを和らげる。気血の流れを改善。
桃仁(とうにん)活血化瘀・消腫作用。瘀血を除き、炎症や腫れを鎮める。
紅花(こうか)活血通経・止痛。血流を改善して疼痛を軽減。
大黄(だいおう)瀉下・清熱・活血。炎症を抑え、血の滞りを解消。
甘草(かんぞう)調和作用。諸薬をまとめ、炎症を和らげる。


🌡 臨床的特徴

観点内容
症状の特徴 打撲・捻挫・骨折などで腫れて痛む。内出血・皮下出血・血腫を伴う場合も多い。
体質傾向 体力中等度以上の人に適す。虚弱体質にはやや強すぎる場合もある。
舌象・脈象 舌:暗紅・瘀点あり。
脈:弦・渋。


🩺 現代医学的応用

  • 打撲・捻挫・筋肉痛・骨折後の腫脹や疼痛。
  • スポーツ外傷・交通事故後の打撲など。
  • 整形外科領域の急性炎症性疼痛。
  • 慢性期の瘀血性疼痛にも応用可。


⚖️ 類方・比較

方剤特徴・鑑別点
桂枝茯苓丸慢性の瘀血による痛み・月経障害などに。
通導散瘀血が強く、便秘を伴う場合に。
疎経活血湯慢性の関節痛・筋肉痛など、瘀血による疼痛全般に。


⚠️ 使用上の注意

  • 出血がひどい場合や、妊娠中の使用は避ける。
  • 虚弱体質の人には慎重に用いる。
  • 慢性疼痛よりも、急性の外傷性疼痛に適する。


📖 メモ(臨床要点)

  • 打撲・捻挫・骨折などによる腫れや痛みに即効性がある。
  • 「活血化瘀」により血流を改善し、炎症や腫れを鎮める。
  • 紅花・桃仁・川芎の「活血三味」が中心。
  • スポーツ外傷の初期治療や整形外科領域でも有用。

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