概念
明目(めいもく)とは、目の働きを改善し、視力や視覚の清明さを回復・維持する治法である。
「明」は明らかに見る意であり、目の昏濁・かすみ・乾燥・疼痛など、肝血・肝陰の不足や風熱・湿熱の上攻による目の障害に対して用いられる。
古来より「肝は目に開竅す」とされ、肝と腎の滋養、風熱の清泄が明目法の基本となる。
所属
主に補益法・清熱法・疏風法などに属し、病因に応じて応用される。
特に肝血不足・肝腎陰虚・風熱上攻・湿熱上炎・気血両虚などによる目疾患に用いられる。
効能
- 肝血・肝陰を滋養して視力を回復する。
- 風熱・湿熱を除き、目の充血や痛みを鎮める。
- 気血を調え、目の疲労や乾燥を改善する。
- 目のかすみ・涙目・視物昏花を軽減する。
- 目の清潤を保ち、視覚機能を維持する。
主治
病機
肝血・肝陰が不足すると、目が滋養を失って昏花・乾燥し、視力が減退する。
一方、風熱や湿熱が上焦を犯すと、目が充血・腫痛・流涙を呈する。
明目法は、補益・清熱・疏風・滋陰・養血などの手段を用いて、肝腎を養い、目を潤して視覚を清明にする。
代表方剤
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん):肝腎陰虚による視力減退、目の疲れ。
- 石斛夜光丸(せっこくやこうがん):肝腎不足、視物昏花、乾燥。
- 羚羊角散(れいようかくさん):風熱上攻による目赤・疼痛。
- 洗肝明目湯(せんかんめいもくとう):肝熱上炎、目赤腫痛。
臨床応用
- 眼精疲労・かすみ目・視力減退。
- ドライアイや慢性結膜炎。
- 高血圧・糖尿病に伴う視覚障害の補助療法。
- 加齢性黄斑変性・白内障の補助的治療。
- 風熱・肝火による目赤・痛みの軽減。
使用上の注意
- 原因が明確でない視覚障害は眼科的診断を優先する。
- 風熱・実熱が強い場合は清熱瀉火薬を、虚証では滋陰養血薬を中心に用いる。
- 慢性眼疾では長期的な養肝腎が必要。
- 過度の目の使用を避け、生活指導を併用する。
まとめ
明目法は、肝腎を養い、風熱や湿熱を除いて視覚を清明にする治法である。
代表方剤には杞菊地黄丸・石斛夜光丸・羚羊角散などがあり、滋陰・養血・清熱・疏風を組み合わせて目の症状を改善する。
現代では眼精疲労や視覚障害の補助療法として広く応用される。
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