【概要】
涼血止痒とは、血熱による皮膚の瘙痒(かゆみ)を鎮め、炎症や発赤を改善する治法です。
血熱とは、熱邪・湿熱・血分の熱盛・情志の鬱熱などによって血が熱を帯び、皮膚に上炎することで生じます。
その結果、発疹・赤み・強い痒み・掻破による滲出などが現れます。
涼血止痒は、血分の熱を冷まし、炎症を抑え、痒みを止めることを目的とします。
【適応症状】
- 強い痒みを伴う皮膚疾患(慢性・急性いずれも)
- 発赤・腫脹・滲出・糜爛を伴う皮膚トラブル
- 蕁麻疹(じんましん)、湿疹、皮膚炎
- 掻き壊して悪化しやすい皮疹
- 熱感を伴う痒み、夜間に増悪する痒み
- 口渇・イライラ・便秘・濃い尿などの熱証を伴う場合
【病機】
血熱妄行または血分に湿熱や風熱が結合し、肌表に向かって外達し痒みを誘発する。
血熱が皮膚に上炎することで皮疹・掻痒が生じ、掻破によって滲出や炎症が悪化する。
【治法の作用】
- 血分の熱を冷まし、上炎を抑制する
- 皮膚の炎症と充血改善
- 掻痒(かゆみ)の鎮静
- 血行調整により皮膚の修復促進
【代表的な処方】
- 消風散(しょうふうさん)
- 温清飲(うんせいいん)
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- 清営湯(せいえいとう)
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
【併用される治法】
◆ 涼血止痒は、血熱による強い痒み・発赤・湿疹・蕁麻疹などに用いられる重要な治法であり、皮膚疾患の急性期・慢性期に応用できる。
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