外邪犯胃とは

外邪犯胃とは、風寒・風熱・湿邪などの外感邪気が体表から侵入し、胃腑に及んで胃の和降作用を障害した状態を指す中医学の病証です。
胃は「受納・腐熟」を主り、気は下降を本としますが、外邪の侵襲により胃気が乱れると、悪心・嘔吐・胃部不快などの症状が現れます。

主な原因

• 外感風寒： 冷えや寒邪が胃を直中し、胃気の下降を阻害。
• 外感風熱： 熱邪が胃腑に入り、胃熱を生じる。
• 湿邪侵入： 湿気や雨天環境により中焦が阻滞。
• 正気不足： 体力低下時に外邪を受けやすい。

病理機転

• 外邪が表から裏へ伝入し胃腑を犯す。
• 胃気不和・胃失和降 → 気機上逆。
• 寒邪では凝滞、熱邪では煩熱を伴う。

主な症状

• 悪心・嘔吐
• 胃部膨満感・不快感
• 食欲不振
• 胃脘部の痛み（寒で増悪・熱で灼熱感）
• 発熱・悪寒・頭痛など外感症状を伴うことも

舌・脈の所見

• 舌： 苔白（寒）、苔黄（熱）、膩苔（湿）
• 脈： 浮・滑、または数

関連する病証

• 胃気上逆
• 外感風寒
• 外感風熱
• 胃熱上逆

治法

• 解表祛邪： 体表および中焦の外邪を除く。
• 和胃降逆： 胃気を整え下降させる。
• 清熱または散寒： 邪の性質に応じて対応。

養生の考え方

• 冷えや急激な温度変化を避ける。
• 発症時は無理な食事を控える。
• 温かく消化の良い飲食を少量ずつ。
• 体調不良時は十分な休養をとる。

まとめ

外邪犯胃は、外感邪気が胃腑に及び、胃の和降機能を乱す病証です。
治療は解表祛邪・和胃降逆を基本とし、邪の性質（寒・熱・湿）を正確に見極めることが重要です。