先天不足(せんてんぶそく)とは、出生時に授かった先天の精気が不足しており、成長・発育・体力・回復力が弱い体質的病機を指す中医学の概念です。
先天の精は主に腎に蔵され、成長・生殖・骨髄・脳・免疫力の基盤となります。
この精気が不足すると、虚弱体質・発育不良・慢性疾患への移行が起こりやすくなります。
主な原因
- 両親の体質: 両親の精気不足が胎児に影響する。
- 妊娠期の失調: 妊娠中の過労・栄養不足・情志失調。
- 早産・低出生体重: 十分な先天の精を得られない。
- 遺伝的素因: 虚弱体質として表れやすい。
病理機転
- 先天の精気不足 → 腎精虚損。
- 成長・発育・生殖機能が十分に発揮できない。
- 後天の脾胃での補充が追いつかないと虚が顕在化する。
- 久病・慢性疾患に移行しやすい体質となる。
主な症状
- 体格が小さい、発育が遅い
- 疲れやすく回復に時間がかかる
- 風邪をひきやすい
- 骨や歯が弱い
- 集中力低下、記憶力不足
舌・脈の所見
- 舌: 淡、やや胖大
- 脈: 沈細、弱
関連する病機・証型
代表的な方剤
- 六味地黄丸: 腎精不足の基本方。
- 八味地黄丸: 腎陽虚を伴う場合に。
- 右帰丸: 重度の腎精虚に。
- 左帰丸: 腎陰虚が主体の場合に。
治法
- 補腎益精: 先天の精を補い基礎体力を高める。
- 培補先天: 体質改善を目的とする。
- 健脾養後天: 後天の気血生化で先天を補う。
養生の考え方
- 十分な睡眠で腎精の消耗を防ぐ。
- 過労・夜更かしを避ける。
- 消化の良い食事で脾胃を養う。
- 成長期・回復期は無理な運動を控える。
まとめ
先天不足は、腎精の不足を基盤とする体質的病機であり、成長・発育・回復力に長期的影響を及ぼします。
治療では補腎益精・健脾養後天を柱とし、時間をかけた体質改善が重要となります。
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