五病変(動・炎・壅・燥・寒)とは

五病変(ごびょうへん)とは、五行(木・火・土・金・水)の性質が、病理的に偏盛・不足したときに現れる特徴的な変化様式(変動パターン)を示す概念です。
五行の「生・克」の関係が失調したとき、それぞれの行に特有の“変”が起こるとされます。


■ 五病変の基本対応

五行 五臓 病変の性質 主な病理傾向
動(どう) 動揺・上逆・痙攣
炎(えん) 炎上・煩躁・出血
壅(よう) 停滞・鬱積・痰湿
燥(そう) 乾燥・津液不足
寒(かん) 冷え・凝滞・衰退


■ 各病変の解説

● 木の病変は「動」
肝は条達・昇発を主るため、失調すると動揺・震え・痙攣・めまいなど“動きすぎる”症状が現れる。
例:肝風内動肝陽上亢

● 火の病変は「炎」
火は上炎する性質を持つため、病変では顔面紅潮、口舌瘡、煩躁、不眠、出血傾向などが出る。
例:心火亢盛陰虚火旺

● 土の病変は「壅」
脾は運化を主るが、失調すると水湿や食積が停滞し、膨満、痞え、痰湿、浮腫を生じる。
例:湿困脾胃痰湿内停

● 金の病変は「燥」
肺は粛降・宣発を主るが、津液を失うと乾燥が進み、乾咳、皮膚乾燥、鼻咽乾燥などが出現する。
例:燥邪犯肺肺陰虚

● 水の病変は「寒」
腎は蔵精・主水であり、陽気不足や寒邪侵襲により、冷え、腰膝冷痛、頻尿、元気低下などが現れる。
例:腎陽虚寒凝



■ 五病変の本質

五病変は単なる症状分類ではなく、

  • 五行の性質が極端化したときの「偏りの出方」
  • 病理がどの方向へ進みやすいかを示す指標
  • 治法選択(平肝・清火・健脾・潤肺・温腎)の理論根拠

を示す重要な概念です。


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