「奇恒の腑(きこうのふ)」 とは、東洋医学において六腑に含まれない特別な腑を指す概念です。
通常の六腑とは異なり、飲食物の通過や排泄に関わらず、五臓に似た「精を貯える」性質を持つことが特徴です。
奇恒の腑とは何か
「腑」は一般的に飲食物を受け入れ、変化させ、不要物を排泄する役割を持ちますが、奇恒の腑はその性質が異なります。
それぞれが特有の働きを持ち、臓に近い性質と腑の性質を併せ持つため「奇恒」と呼ばれます。
奇恒の腑の種類
- 脳(のう):精神活動・感覚・記憶を司る
- 髄(ずい):骨や脳を満たし、成長や発達に関与する
- 骨(こつ):体を支え、髄を蔵する
- 脈(みゃく):血を運び、全身を養う
- 胆(たん):六腑に属しつつも、精気を貯える性質から奇恒の腑にも含まれる
- 女子胞(じしほう):子宮。生殖や妊娠に関わる
奇恒の腑の特徴
- 精気を貯え、必要に応じて全身へ供給する
- 発育・生殖・生命維持に関わる根源的な働きを担う
- 五臓と密接に関連し、とくに「腎」と深い関係を持つ
奇恒の腑の不調
- 脳や髄の不足 → 記憶力低下、めまい、発育不良
- 骨の虚弱 → 骨粗鬆、腰膝のだるさ
- 脈の異常 → 動悸、不整脈、循環不良
- 女子胞の不調 → 月経不順、不妊、妊娠・出産トラブル
まとめ
「奇恒の腑」とは、通常の六腑とは異なり、
精を貯え、成長・発育・生殖・精神活動に深く関わる特別な腑を指します。
五臓と密接に連携しながら、人の生命活動を根本から支える存在といえるでしょう。
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