脾の弁証 とは、脾の機能失調によって生じる病態を整理し、気血の生成や運化(水穀を消化吸収する働き)との関係から分類する方法です。
代表的なパターンは以下のようにまとめられます。
脾の虚証
- 脾気虚(ひききょ): 脾気の不足により、疲労・食欲不振・便溏などが現れる。
- 脾陽虚(ひようきょ): 脾気虚が進み、温煦作用が低下して冷え・下痢・浮腫が出る。
- 脾不統血(ひふとうけつ): 脾気が弱く、血を統攝できず、出血傾向が見られる。
- 心脾両虚(しんぴりょうきょ): 脾の気血不足が心を養えず、不眠・健忘・動悸を伴う。
脾の湿邪による証
- 脾虚湿困(ひきょしつこん): 脾の運化失調により湿が停滞し、全身の重だるさや食欲不振が現れる。
- 寒湿困脾(かんしつこんぴ): 外からの寒湿や脾陽虚によって、冷えや下痢・浮腫を伴う。
- 湿熱困脾(しつねつこんぴ): 湿と熱が絡み、口の粘つき・苦味・下痢や黄だんを呈する。
その他の関連証
- 脾胃気虚(ひいききょ): 脾と胃の気不足により、消化不良・倦怠感が著しい。
- 脾胃虚寒(ひいきょかん): 脾胃の陽気不足で冷えや下痢を呈する。
まとめ
脾の弁証は、大きく分けて「脾気・脾陽の不足」と「湿の停滞」に関連するものが中心です。
消化吸収と気血生成の基盤である脾の状態を把握することは、東洋医学の診断において極めて重要です。
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