心気不舒とは

心気不舒とは、心の気機が伸びやかに巡らず、抑うつ・緊張・胸部不快感などの症状を呈する病証を指します。
主に情志失調により心気が鬱滞し、心神の安定が損なわれることで発症します。


主な原因

  • 情志鬱結 長期の精神的緊張、不安、抑圧により心気の疏泄が障害される。
  • 肝心不和: 肝気鬱結が心に影響し、気機の円滑な運行を妨げる。
  • 久病体虚: 心気不足により気の推動力が低下する。
  • 外邪内侵: 痰・湿・瘀などが心気の流れを阻害する。

病理機転

  • 心気の巡行が失調し、胸中の気機が鬱滞する。
  • 心神が十分に養われず、精神活動が不安定となる。
  • 気滞が進むと、血行にも影響し胸悶や疼痛を生じる。

主な症状

  • 胸悶・胸部不快感
  • 動悸・息苦しさ
  • 不安感・抑うつ感
  • ため息が多い
  • 睡眠不安定・夢が多い
  • 疲れると症状が増悪

舌・脈の所見

  • 舌: 淡紅またはやや暗、薄白苔
  • 脈: 弦、または細・虚

関連する病証


治法

  • 理気寛胸 心胸の気滞を解消する。
  • 舒心安神: 心神を安定させる。
  • 疏肝解鬱 肝心の気機を調和させる。
  • 益気扶心: 心気不足を補う。

養生の考え方

  • 精神的緊張を避け、十分な休養をとる。
  • 深呼吸や軽い運動で気の巡りを促す。
  • 過度な思慮・悩みを溜め込まない。
  • 刺激物やカフェインの摂取を控える。

まとめ

心気不舒は、心の気機失調による胸中不快と精神不安を主とする病証です。
治療では理気・安神・疏肝を重視し、情志の調整が極めて重要となります。

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