調整三焦とは

【概要】
調整三焦とは、上焦・中焦・下焦の気機と水液代謝を統合的に調え、全身の生理機能の連携を回復させる治法である。
三焦は「決瀆の官」とされ、気・水・津液の通路として全身を結ぶ中枢的存在であり、いずれか一部の失調は全体の不和を招く。

本法は、気機不利・水液停滞・寒熱錯雑・上下不調など、病位が一焦に限定されない複雑な病態に用いられ、全体のバランス調整を目的とする。

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主な適応症状

• 上熱下寒・胸腹部の不調が併存
• 食欲不振と口渇・浮腫の混在
• 胸悶・腹満・小便不利
• 疲労感・全身倦怠
• 症状が一定せず変動しやすい状態

これらは三焦の通達不利による気化失調を反映する。

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主な病機

• 上焦不宣：肺気失調により胸悶・咳・口渇。
• 中焦不和：脾胃失調による食欲不振・腹満。
• 下焦不利：腎・膀胱の気化失調による排泄異常。
• 三焦気機鬱滞：上下の連絡が断たれた状態。

治療は宣上・和中・利下を同時に考慮し、偏りを避けることが重要である。

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主な配合法

• 調整三焦＋理気：気機全体の停滞が中心の場合。
• 調整三焦＋利水：水液停滞・浮腫を伴う場合。
• 調整三焦＋清熱：上焦に熱象が偏る場合。
• 調整三焦＋温補：下焦虚寒を伴う場合。

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代表的な方剤

• 温胆湯：三焦の痰熱・気機不利を調整。
• 柴胡桂枝乾姜湯：少陽枢機を整え上下を調和。
• 五苓散：三焦水道の通利を回復。
• 半夏瀉心湯：中焦を軸とした上下不和。
• 小柴胡湯：三焦の枢機調整。

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臨床でのポイント

• 局所症状にとらわれず全体像を重視する。
• 寒熱・虚実の混在を見極める。
• 単一治法で無理にまとめない。
• 少量多方向の加減が有効。
• 慢性・難治例に応用価値が高い。

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まとめ

調整三焦法は、上・中・下焦の連携を回復し、気・水・津液の運行を統合的に整える治法である。
病位が複雑で症状が多岐にわたる場合に有効で、全身調整の要となる治法として臨床的意義が高い。
局所治療に偏らない「全体観」に基づく応用が鍵となる。