血少陰損とは

■ 概念

体内の血が不足し、同時に陰液（津液・血）が損耗した状態。
血虚により身体の滋養が低下し、陰液の減少で虚熱や乾燥症状が現れる。精神・神志・五官にも影響が及ぶ。

■ 主な症状

• 顔色萎黄または潮紅、唇・爪の蒼白
• めまい、健忘、不眠、多夢
• 口渇・咽乾、舌紅少津
• 四肢のしびれ、手足の冷えやだるさ
• 心悸・動悸、心神不安
• 月経不順、経血量少・血塊を伴うことも
• 脈細・数、あるいは虚弱

■ 病機（病理）

血少と陰損は互いに影響し合い、臓腑・経絡・筋肉・神志の濡養作用が不足する。
その結果、虚熱内生・血行不暢・精神不安・睡眠障害などを引き起こす。

■ よくある原因

• 慢性疾患や長期消耗による血虚
• 高熱・熱病後の陰液損耗
• 月経過多・出血・産後の血液損失
• 加齢や過労による陰液不足
• 長期の精神ストレスや思慮過多による陰血損耗

■ 治法

養血滋陰・清虚熱・安神

■ 代表方剤

• 六味丸（腎陰不足を伴う場合）
• 当帰補血湯（血虚中心での症状）
• 天王補心丹（心陰不足による心悸・不眠に）
• 杞菊地黄丸（肝腎陰虚を伴う目の乾燥・めまいに）
• 八味地黄丸（血虚と腎陰虚の併発に）

■ 養生のポイント

• 十分な睡眠と休息で陰血を養う
• 過労や精神的緊張を避ける
• 黒豆、胡麻、山薬、枸杞子、竜眼肉、ナツメなどの滋陰補血食材を摂取
• 辛すぎる食品、揚げ物や熱性食品は控える
• 軽い運動やストレッチで血行促進