肝腎不足とは、肝血および腎精・腎陰が不足し、筋骨・目・耳・脳・生殖機能などを十分に滋養できなくなった状態を指す中医学の病証です。
肝は血を蔵し、腎は精を蔵します。精血は同源であるため、肝腎のいずれかが虚すと相互に影響し、肝腎不足の証を形成します。
主な原因
病理機転
- 腎精不足 → 骨髄・脳を滋養できない。
- 肝血不足 → 筋・目・爪の失養。
- 精血同源の失調 → 全身機能低下。
主な症状
- 腰膝酸軟、筋力低下
- めまい、耳鳴り、健忘
- 視力低下、目の乾燥
- 爪が脆い、筋のひきつれ
- 不眠、夢が多い
舌・脈の所見
- 舌: 淡紅または紅、苔少
- 脈: 細・弱、または弦細
関連する病証
治法
- 補益肝腎: 肝血と腎精を補う。
- 滋陰養血: 精血を充たし筋骨を養う。
- 強筋健骨: 運動器・生殖機能を補助。
養生の考え方
- 過労・夜更かし・房事過多を避ける。
- 黒胡麻、枸杞子、山薬、胡桃などを摂取。
- 目や腰を酷使しすぎない。
- 十分な睡眠で精血を養う。
まとめ
肝腎不足は、精血同源の失調による慢性虚証であり、加齢や久病に多くみられます。
治療は補益肝腎・滋陰養血を基本とし、腰膝・目・耳・脳の養生を重視することが重要です。
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