肝気犯肺(かんきはんはい)とは、肝の気が鬱して上逆し、肺の宣発・粛降機能を阻害することで、咳嗽や呼吸異常を引き起こす病機を指します。
五行における「木剋金(もくこくきん)」、すなわち肝(木)が肺(金)を侵す状態として理解されます。
肝は疏泄を主り気機を調整し、肺は宣発・粛降によって気の出入りを司りますが、肝気が鬱して上逆すると、肺の下降機能が阻害され、気が上に逆流します。
その結果、咳嗽や胸苦しさなどの症状が現れます。
肝気犯肺の特徴としては、次のような性質があります。
- 気逆性(気が上に逆上する)
- 情志関連(ストレスで悪化)
- 発作性(症状が波状的に出る)
- 機能失調(肺の宣発・粛降障害)
主な原因としては、次のようなものがあります。
- 情志失調(怒り・抑うつ)
- 肝気鬱結
- ストレスの持続
- 体質的な気機の不安定
主な症状としては、次のようなものがみられます。
- 咳嗽(特にストレスで悪化)
- 呼吸が浅い・息苦しさ
- 胸悶・胸脇苦満
- ため息が多い
- いらいら・情緒不安定
- 咽の違和感(梅核気様)
舌脈の特徴としては、肝気鬱結の影響を反映して次のような所見がみられることが多いです。
- 舌質やや紅または正常〜淡紅
- 舌苔薄白または薄黄
- 脈弦
治法としては、肝気を調え肺の機能を回復させることを目的として、次のような方法が用いられます。
代表的な関連病証としては、次のようなものがあります。
このように肝気犯肺は、肝気の鬱結・上逆によって肺の宣発・粛降機能が阻害され、咳嗽や呼吸異常を引き起こす病機です。
そのため治療では、単に咳を止めるのではなく、肝気を整えて肺の気機を正常化することが重要とされます。
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