寒秘(かんぴ)とは、体内の寒邪や陽気不足によって腸が冷え、気機の推動力が低下することで、便が排出されにくくなる病機を指します。
寒は「収引」「凝滞」の性質を持つため、腸の運動を抑制し、伝導機能を低下させることで便秘を引き起こします。
寒秘は主に陽虚(特に脾腎陽虚)を背景として生じることが多く、慢性的で虚証的な経過をとるのが特徴です。
また、寒によって津液の運行も停滞するため、便は必ずしも乾燥せず、軟便であっても排出困難となることがあります。
主な原因としては、次のようなものがあります。
- 脾腎陽虚
- 冷飲・生冷食の過多
- 腹部の冷え
- 加齢による陽気の衰え
主な症状としては、次のようなものがみられます。
- 排便困難(出にくい)
- 便は硬くない、またはやや軟便
- 腹部の冷感・冷痛(温めると軽減)
- 四肢の冷え
- 顔色蒼白
- 疲労感
舌脈の特徴としては、次のような所見がみられることが多いです。
- 舌質淡
- 舌苔白滑
- 脈沈遅または脈弱
治法としては、陽気を温め腸の運動を回復させることを目的として、次のような方法が用いられます。
代表的な関連病証としては、次のようなものがあります。
このように寒秘は、寒邪または陽虚によって腸の機能が抑制され、排便が困難となる便秘の病機です。
そのため治療では、単に通便させるのではなく、体を温めて陽気を回復し、自然な排出力を取り戻すことが重要とされます。
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