温陽利水とは

概要

温陽利水は、腎陽不足や脾腎陽虚によって水液代謝が失調し、体内に水湿が停滞する病機に用いられる治法である。陽気は水を温煦して気化を推進するが、その不足により膀胱の開闔が失調し、水液が停滞して浮腫や小便不利を生じる。温陽により腎脾を扶け、水道を通調して利水を図ることを目的とする。

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主な適応症状

• 小便不利、尿量減少または排尿困難
• 全身や下肢の浮腫、腹水
• 四肢冷感、腰膝冷痛
• 面色白、倦怠感、無力感
• 舌質淡胖、苔白滑、脈沈遅

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代表的な応用病機

• 腎陽虚による膀胱気化不利：小便不利や水腫を生じる。
• 脾腎陽虚の水湿停滞：運化失常により水湿が停滞し、浮腫や泄瀉を伴う。

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主な配合法

• 温腎助陽薬（附子、肉桂、乾姜）：腎陽を温めて命門火を鼓舞する。
• 利水滲湿薬（茯苓、猪苓、沢瀉）：水道を通利し湿を去る。
• 健脾益気薬（人参、白朮）：脾を補って水湿の生じる源を治す。

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代表的な方剤

• 真武湯：腎陽虚・脾陽不足で小便不利や浮腫を呈する場合。
• 五苓散（加減使用）：小便不利や水腫に寒象を伴う場合。
• 腎気丸：腎陽不足で小便不利や浮腫を呈する慢性病証に。

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臨床でのポイント

• 寒証を伴う浮腫では附子や肉桂を重用し、温陽作用を強める。
• 脾腎両虚が著しい場合は健脾益気薬を配合して根本を補う。
• 水腫が重度の場合には利水滲湿薬を多めに使い、通利小便を促す。

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まとめ

温陽利水は、腎陽や脾腎陽虚による水湿停滞・小便不利・浮腫に対して用いられる重要な治法である。温陽によって水の気化を回復させ、利水によって停滞を解消し、水道を通暢にすることを目標とする。