桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

📘 基本情報

項目内容
方剤名桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
出典『金匱要略』
分類祛風除湿・温経散寒剤
保険適用エキス製剤桂枝加朮附湯(ツムラ52、クラシエ52など)
構成生薬桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草・白朮・附子


🧭 方意(効能と主治)

区分内容
効能発汗解肌温経散寒祛風除湿止痛
主治風寒湿による関節痛・四肢冷痛。
冷え・こわばり・しびれなどを伴う。
病機表虚衛気不和)に寒湿が加わり、経絡が阻滞して疼痛を生ずる。
附子で寒を温め、朮で湿を除き、桂枝湯で営衛を調える。
現代的適応関節リウマチ、神経痛、腰痛、四肢の冷え、変形性関節症、肩こり、しびれ、冷え性など。


🌡 臨床的特徴

観点内容
使用目標(証)体力中等度またはやや虚。
四肢関節や筋肉の冷痛・こわばり・重だるさ。
冷えが強く、温めると楽になる。発汗傾向は少ない。
体質傾向冷え性、血行不良、湿の停滞しやすい体質。
舌診淡紅または淡白舌、白苔、湿潤。
脈診沈遅、無力。


💊 構成生薬と作用

生薬名主要作用
桂枝発汗解表、温経散寒、血行促進。
芍薬養血柔肝、筋肉の攣急を緩和。
生姜温中散寒、胃腸を温める。
大棗補中益気、緩和作用。
甘草調和諸薬、緩急止痛。
白朮健脾燥湿、除湿止痛。
附子温陽散寒、止痛、四肢の冷えを改善。


🩺 現代医学的な理解

  • 抗炎症作用:関節痛やリウマチ性疼痛を軽減。
  • 鎮痛作用:筋肉・神経痛を緩和。
  • 末梢循環改善:血流促進により冷えを改善。
  • 代謝促進:湿滞による重だるさを軽減。


⚠️ 使用上の注意

  • 附子を含むため、過量・長期服用に注意。
  • 実証・熱性炎症性疾患には不向き。
  • 発熱・口渇などの熱証がある場合は避ける。


💬 臨床応用例

  • 冷えを伴う関節痛・神経痛。
  • 慢性腰痛、坐骨神経痛。
  • 四肢の冷え・しびれ・こわばり。
  • リウマチ、変形性関節症。
  • 寒湿による筋肉痛・肩こり。


🌱 類方鑑別

比較方剤相違点
桂枝湯発汗解表が中心で、冷えや痛みが軽度な場合。
麻黄附子細辛湯より寒が強く、悪寒・発熱を伴う初期の感冒や関節痛に。
真武湯水滞が強く、浮腫・めまい・下痢を伴う場合。
独活寄生湯慢性の冷え性関節痛で体力がやや低下している場合。


📖 メモ

  • 桂枝湯を基礎に、寒湿による疼痛を治すため朮と附子を加えた方。
  • 「冷えて痛む」「こわばる」「温めると楽」タイプに適す。
  • 関節リウマチなど、慢性の冷痛・しびれに応用される。
  • 体力が中等度~やや虚の人向け。

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