桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)

📘 基本情報

項目内容
方剤名桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)
出典『傷寒論』
分類解肌発表剤(風寒表証表虚タイプ)
保険適用エキス製剤桂枝加葛根湯(ツムラ25、クラシエ25など)
構成生薬葛根・桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草


🧭 方意(効能と主治)

区分内容
効能解肌発表舒筋活絡止痛
主治風寒表証で項背強ばる者。
発熱、悪寒、頭痛、項背部のこわばり、肩こり、発汗(あるいは微汗)など。
病機風寒邪が表に侵入し、経絡の気血が阻滞して項背部に拘急・疼痛が生じた状態。
現代的適応風邪初期(特に肩こりを伴うタイプ)、頸肩腕症候群、緊張型頭痛、寝違え、むちうち。


🌡 臨床的特徴

観点内容
使用目標(証)体力中等度。風寒表証で発汗はあるいは少しあり。項背の強ばりが著明。
体質傾向体力中等度、風邪をひきやすい、肩こりしやすい。
舌診淡紅舌、薄白苔
脈診浮緩または浮弱


💊 構成生薬と作用

生薬名主要作用
葛根発汗解肌、項背の筋肉をゆるめる。肩こり・頭痛の改善。
桂枝発汗・解表、血行促進、寒邪を除く。
芍薬筋肉の緊張を緩和し、疼痛を和らげる。
生姜発汗助長、胃腸保護、温中散寒。
大棗脾胃を養い、虚弱を防ぐ。
甘草諸薬の調和、鎮痛・緩和作用。


🩺 現代医学的な理解

  • 鎮痛・筋弛緩作用:肩こり、項部痛、頭痛を軽減。
  • 末梢血流改善作用:血行を促進し、こわばりを緩める。
  • 抗炎症作用:風邪初期や筋肉痛の炎症を緩和。
  • 自律神経調整作用:緊張性頭痛、神経痛に有効。


⚠️ 使用上の注意

  • 無汗・悪寒・体力旺盛な実証では葛根湯(無「加」)を使用。
  • 発熱が高く、口渇や喉の乾きが強い場合は風熱方を考慮。
  • 虚弱で汗が多すぎる場合は桂枝加黄耆湯を検討。


💬 臨床応用例

  • 風邪初期で項背のこわばりが強い場合。
  • 肩こり・筋肉痛・緊張型頭痛。
  • 寝違え・むちうち・首肩の張り。
  • 冷えによる肩背部不快感。
  • 発熱・悪寒を伴う軽い感冒。


🌱 類方鑑別

比較方剤相違点
葛根湯無汗・悪寒が強く、体力中等度〜やや実。発汗作用が強い。
桂枝湯発汗あり、体力やや虚。項背のこわばりが軽い。
葛根加朮附湯虚寒体質で関節・筋肉の痛みが慢性的な場合。
麻黄湯無汗・悪寒・実証タイプに使用。発汗作用がさらに強い。


📖 メモ

  • 桂枝湯に葛根を加えた方剤で、項背のこわばり・肩こりに特化。
  • 発汗を調和的に促し、風寒を除きながら筋肉をゆるめる。
  • 風邪初期で首・肩の症状が目立つときに最適。
  • 虚実中間証で、発汗過多の心配が少ない穏やかな方剤。

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