養血安神とは

概要

養血安神（ようけつ あんしん）は、血虚によって心神が失養し、不眠・健忘・動悸・不安などの精神症状が現れる病態に対し、血を養って心を安定させ、神志を調える治法である。
血は心を養い神を安んずる基礎であり、血虚すれば心神不安となり、睡眠障害や精神不安が顕著となる。

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主な適応症状

• 不眠・多夢・入眠困難
• 動悸・健忘・不安・驚きやすい
• 顔色萎黄・爪甲脆弱・めまい
• 舌質淡・脈細弱

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主な病機

• 久病・過労により血の生化不足
• 思慮過度で脾気を損傷し、心血不足を招く
• 失血や月経・産後で血虚により心神が失養
• 熱病後期や虚労により血液が耗損

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主な配合法

• 養血安神＋健脾益気：脾虚を伴う場合
• 養血安神＋補腎填精：腎虚を兼ねる場合
• 養血安神＋清熱養陰：陰虚や虚熱を兼ねる場合
• 養血安神＋活血化瘀：血虚に瘀血を伴う場合

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代表的な方剤

• 酸棗仁湯：心血不足・心神不安による不眠に。
• 帰脾湯：脾気虚・心血不足で、不眠・健忘・倦怠に。
• 天王補心丹：心腎陰虚・心血不足で、不眠・心悸・健忘がある場合。
• 柏子仁丸：心血不足・陰虚を伴い、心神不安が顕著な場合。

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臨床でのポイント

• 主症状は「不眠・健忘・心悸」であり、虚証性の精神症状に多い。
• 当帰・熟地黄・酸棗仁・柏子仁・遠志・龍眼肉などがよく用いられる。
• 婦人科（経少・経閉・産後）や長期の慢性疾患、精神的消耗による不眠に適応する。
• 治療の中心は「養血」と「安神」を同時に行う点にある。

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まとめ

養血安神は、心血不足に基づく心神不安を改善するための基本治法である。
不眠・健忘・動悸といった虚証性の精神症状を目標とし、婦人科疾患や慢性消耗病に広く応用される。