痰湿阻絡とは

痰湿阻絡とは、痰湿が経絡・絡脈に停滞し、気血の運行を阻害することで、しびれ・重だるさ・固定性の不快感や疼痛を生じる病証です。
痰湿は性質として「重く・粘り・滞りやすい」ため、経絡に留まると慢性化しやすく、久病・体質虚弱・脾虚を背景として発生することが多いとされます。

主な原因

• 脾虚による運化失常： 水湿をさばけず、痰湿が内生する。
• 飲食不節： 油膩・甘味・過食により痰湿が生じやすくなる。
• 久病・慢性疾患： 正気虚弱となり、痰湿が経絡に留まりやすい。
• 外湿の侵襲： 湿邪が体内の痰湿と結び、経絡を阻滞する。

病理機転

• 脾の運化低下 → 痰湿内生。
• 痰湿が経絡・絡脈に停滞 → 気血の巡行不利。
• 経絡不通 → しびれ・重だるさ・疼痛が出現。
• 長期化すると瘀血を伴い、病状が固定化。

主な症状

• 四肢や体幹のしびれ・重だるさ
• 動かすと悪化しにくい、鈍い痛み
• 症状が固定し、慢性的に続く
• 雨天・湿気で悪化しやすい
• 胸悶、頭重感、めまいを伴うこともある

舌・脈の所見

• 舌： 淡胖、歯痕、苔白膩または膩
• 脈： 滑、緩、または濡

関連する病証

• 痰湿内停
• 痰湿阻滞
• 瘀血阻絡
• 久病入絡

治法

• 化痰祛湿： 痰湿を除き、停滞を解消する。
• 通絡止痛： 経絡を通し、しびれ・疼痛を改善。
• 健脾化湿： 痰湿の再生を防ぐ。

養生の考え方

• 湿気・冷えを避け、身体を冷やさない。
• 油膩・甘味・過食を控える。
• 軽い運動で気血の巡りを促す。
• 長期化しやすいため、継続的な体質改善を心がける。

まとめ

痰湿阻絡は、痰湿が経絡に停滞して気血の流れを妨げる病態であり、しびれ・重だるさ・慢性疼痛を特徴とします。
治療では化痰祛湿・通絡を中心に、同時に健脾して痰湿の再生を防ぐことが重要です。