【概要】
調経止帯とは、月経を調えつつ、帯下(おりもの)の異常分泌を止める治法である。
帯下は女性生殖機能の重要な指標であり、その異常は多くの場合、脾・腎・肝の失調や、
湿・熱・寒などの病邪に起因する。
本法は、単に帯下を止めるだけでなく、経・帯同治の考えに基づき、 気血・臓腑・衝任の調和を重視する点に特徴がある。
主な適応症状
- 白帯下・黄帯下・赤帯下など帯下の異常
- 帯下量の増加・臭気
- 月経不順・経期延長
- 下腹部の冷感・重だるさ
- 腰膝酸軟・倦怠感
- 舌苔白膩または黄膩、脈滑・虚
主な病機
- 脾虚湿盛:運化失調により湿が下注し白帯を生じる。
- 腎虚不固:衝任不固により帯下が止まらない。
- 湿熱下注:湿と熱が結び、黄帯・臭帯を呈する。
- 肝鬱脾虚:気機失調から湿を生じ、経帯異常を招く。
- 寒湿下注:冷えにより白稀帯下・腹部冷痛を伴う。
帯下は多くの場合湿を中心とし、虚実・寒熱の鑑別が治療の要点となる。
主な配合法
- 調経止帯+健脾利湿:脾虚湿盛による白帯下。
- 調経止帯+清熱利湿:湿熱下注による黄帯下。
- 調経止帯+補腎固帯:腎虚による久帯。
- 調経止帯+疏肝理気:肝鬱脾虚を伴う場合。
- 調経止帯+温経散寒:寒湿下注の帯下。
代表的な方剤
- 完帯湯:脾虚湿盛による白帯下の要方。
- 止帯方:腎虚・脾虚による慢性帯下。
- 二妙散:湿熱下注による黄帯下。
- 竜胆瀉肝湯:肝経湿熱が顕著な場合。
- 温経湯:寒虚を伴う経帯異常。
臨床でのポイント
- 帯下の色・量・臭いを詳細に観察する。
- 「止める」よりも病機の調整を優先。
- 急性は実証、慢性は虚証が多い。
- 補剤と利湿薬の配合比が治療効果を左右する。
- 生活指導(冷え・湿環境・過労)も重要。
まとめ
調経止帯は、月経と帯下を同時に調整し、女性生殖機能の恒常性を回復させる治法である。
脾・腎・肝を中心に、湿・寒・熱の偏りを正し、
標本兼治によって再発防止を図る点に臨床的意義がある。
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