症例③:胃腸虚弱

本症例では、慢性的な「胃腸虚弱」をテーマに、弁証から治療設計までの統合的思考を整理します。
特徴として、単一病機ではなく複合病機(虚+湿)をどのように扱うかがポイントになります。


症例設定

主訴:食後の膨満感、疲れやすい、軟便傾向
経過:慢性的に持続
随伴症状:食欲不振、身体のだるさ、時にむくみ


情報整理(四診の要点)

  • 食後膨満 → 運化機能低下
  • 疲労感 → 気虚
  • 軟便 → 脾虚
  • だるさ・むくみ → 湿の停滞
  • 舌:淡胖、白膩苔
  • 脈:緩または濡

→ 脾気虚を基盤とした湿困脾が考えられます。


弁証(証の決定)

証:脾気虚湿困脾

病機の構造:


治法の決定

治法:補気健脾祛湿

  • 脾の機能回復(本治)
  • 停滞した湿の除去(標治)

補瀉併用(ただし補を主体)が基本となります。


方剤選択

治法に対応する方剤として、

本症例では、補気化湿を同時に行う処方が適しています。


配穴設計

■ 主穴(脾の機能回復)

■ 病機対応(湿の除去)

■ 補助穴

→ 構造としては、補気健脾祛湿の二軸構造です。


補瀉の使い分け

補を主、瀉を従とした設計です。


治療戦略(段階的アプローチ)

  • 初期:祛湿をやや重視(重だるさの軽減)
  • 中期:補気健脾を中心に移行
  • 後期:体質改善(補気中心)

→ 病期に応じて重点をシフトさせます。


全体の流れ(整理)


臨床的ポイント

  • 」と「湿」はセットで考える
  • いきなり補うだけでは改善しない(湿が邪魔をする)
  • 除湿しすぎるとさらに虚になるためバランスが重要

この症例は、虚実錯雑の基本形であり、「補いながら除く」という弁証論治の核心を理解する上で重要なモデルです。

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