浮腫(ふしゅ)とは、体内の水液代謝が失調し、水湿が皮下や組織間に停滞して生じる むくみ(浮腫)の状態を指します。全身性または局所性に現れ、特に 脾・肺・腎の機能失調が深く関わります。
原因
主な症状
- 顔・手足・下肢のむくみ
- 朝は顔がむくみ、夕方は下肢が重だるい
- 押すと指痕が残る(把握痕)または弾性のある腫脹
- 四肢の重だるさ・倦怠感
- 小便量の減少、または排尿困難
- 腹部膨満感、胸苦しさ
舌・脈の所見
- 舌:淡胖・歯痕、苔は白膩または水滑
- 脈:濡・滑・沈弱
病理機転
- 脾の運化失常 → 水湿が四肢・全身に停滞
- 腎の気化不足 → 排尿力低下 → 下半身の浮腫
- 肺の宣発粛降失常 → 水道不利 → 上半身の浮腫
- 湿邪・風邪が体表を閉塞 → 水の流通を阻害
代表的な方剤
- 五苓散(ごれいさん): 水湿停滞、水毒を取り除く基本方。
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう): 汗出不止・下肢の浮腫・倦怠感。
- 真武湯(しんぶとう): 腎陽虚+水停。
- 苓桂朮甘湯: 水飲上逆によるめまい・動悸・浮腫。
- 猪苓湯(ちょれいとう): 排尿不利の強い場合。
治法
養生のポイント
- 冷飲・甘味・油物・塩分過多を避ける
- 適度な運動で水分代謝を促進
- 長時間の座位・立位を避ける
- 足湯や腰腹部の保温を行う
- 利水のある食材 例:はと麦、大豆、小豆、冬瓜、きゅうり、昆布
まとめ
浮腫は、水湿代謝失調により体内に水が停滞して生じる症状で、 原因には脾・肺・腎の虚や外感湿邪があります。 治療は利水滲湿・健脾益気・温陽利水を中心とし、 生活管理では冷えと湿邪を避け、脾腎を補うことが重要です。
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