概念
利咽通竅（りいんつうきょう）とは、咽喉部の気機を疏通し、炎症や腫痛、閉塞感などを改善する治法である。
風熱・痰熱・燥火などの邪が咽喉に停滞すると、気道や竅口が閉塞し、咽喉の腫痛・閉塞感・声のかすれ・嚥下困難などが現れる。
利咽通竅法は、咽喉の気機を通じ、炎症を鎮め、呼吸と発声を円滑にすることを目的とする。
所属
主に清熱法・開竅法に属し、風熱犯肺・痰熱上擾・熱毒壅盛による咽喉疾患に用いる。
効能
- 咽喉部の熱と腫脹を鎮める。
- 気機を通じて咽頭の閉塞感を軽減する。
- 発声を円滑にし、嗄声・失音を改善する。
- 炎症・疼痛を鎮め、嚥下障害を和らげる。
- 痰や熱を除き、竅口の通りを回復する。
主治
病機
風熱・痰熱・熱毒・燥火などの邪が咽喉に上擾し、気機と竅口を閉塞することで、腫痛・咽乾・声のかすれ・嚥下困難などが生じる。
利咽通竅法は、清熱解毒・化痰散結・潤燥通竅を図り、咽喉部の気血運行を回復させる。
代表方剤
- 銀翹散（ぎんぎょうさん）：風熱犯肺による咽喉痛、発熱、咳嗽。
- 涼膈散（りょうかくさん）：上焦熱盛、咽喉腫痛、口舌生瘡。
- 牛黄解毒丸（ごおうげどくがん）：熱毒壅盛、咽喉腫痛、咽乾。
- 麦門冬湯（ばくもんどうとう）：燥熱による咽喉乾燥、嗄声、乾咳。
- 清咽利膈湯（せいいんりかくとう）：痰熱上擾、咽喉不利、嗄声。
臨床応用
- 咽喉痛、声がれ、嚥下困難。
- 風熱感冒による咽頭炎・扁桃炎。
- 慢性咽喉炎や咽喉異物感。
- 声を使う職業での嗄声・炎症。
- 呼吸や発声が妨げられる咽頭閉塞感。
使用上の注意
- 寒邪による咽喉痛（咽の冷感、無熱）には不適。
- 陰虚火旺には滋陰清熱薬を併用する。
- 慢性症状では原因（痰熱・燥火・虚火）を弁別して処方を調整する。
- 急性炎症では抗菌・抗炎症治療を併用する。
まとめ
利咽通竅法は、咽喉部の気機を通じ、炎症や腫痛を鎮め、発声や呼吸の通りを回復させる治法である。
代表方剤は銀翹散・涼膈散・牛黄解毒丸・清咽利膈湯などで、清熱・解毒・化痰・潤燥・通竅が治療の要点となる。
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