痰滞胸中とは

■ 概念

痰滞胸中とは、痰湿が胸中に停滞して気機を阻滞し、胸悶・胸痛・咳嗽・呼吸困難などを引き起こす病理状態を指す中医病証です。
痰湿が化熱すると痰熱となり、症状が強くなりやすくなります。


■ 成因

  • 脾虚運化失常: 痰湿の生成と停滞の根本
  • 外邪侵襲: 風寒・風熱が肺衛を犯し、気機鬱阻により痰が生じる
  • 飲食不節 脂っこいもの・甘味の過食、飲酒
  • 七情内傷: 怒・憂が気滞を生じ、痰と結び胸中に停滞
  • 久病入絡 気血の運行不利により痰濁が結滞

■ 主症状

  • 胸悶・胸部のつかえ感・膨満感
  • 胸痛・胸が重い・圧迫感
  • 咳嗽・痰が多い、粘稠で切れにくい
  • 痰が詰まって息苦しい、喘促
  • 体が重く、無力感、倦怠感
  • 舌質:胖大 or 紫暗、歯痕あり
  • 舌苔:白膩 or 黄膩
  • 脈:滑または弦滑

■ 病理機転

脾虚により水湿を運化できず、痰湿が内生し、胸中の気機を阻滞して宣降失常となることで胸悶・咳嗽・喘息を生じます。
気滞・瘀血が絡むと胸痛や刺痛が増強します。


■ 治法


■ 代表方剤

方剤 適応
二陳湯 痰湿阻滞の基本方
瓜蒌枳実湯 胸痺・胸満、痰湿と気滞の結胸
栝楼薤白半夏湯 痰濁胸痺、胸悶胸痛
蘇子降気湯 痰多・喘息
半夏厚朴湯 気滞痰結による梅核気

■ よく用いる配穴(鍼灸)


■ まとめ

痰滞胸中は痰湿の停滞が胸中の気機を阻み、胸悶・胸痛・咳嗽・喘促を呈する病態です。
治療は化痰利気・燥湿行滞・宣肺開胸を基本とし、飲食節制・運動・湿気の防御が重要です。

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