症例②:不眠(四診→弁証→治療)

本症例では、四診(望・聞・問・切)から弁証へ至り、治療へ接続する一連の流れを整理します。
「情報収集 → 統合 → 証の決定 → 治療」という、臨床の基本構造を確認することが目的です。


症例設定

主訴:寝つきが悪く、途中で目が覚める
期間:3か月ほど持続


四診による情報収集

1.望診

  • 顔色やや紅
  • 目の充血傾向
  • 舌:紅舌、やや乾燥、少苔

2.聞診

  • 声がやや強く、イライラした調子
  • ため息が多い

3.問診

  • 寝つきが悪い(入眠困難)
  • 途中覚醒あり
  • 夢が多い
  • 口が乾く
  • ストレスが多い

4.切診

  • 脈:弦数

情報の統合

  • 紅舌・口渇 → 熱の存在
  • 少苔 → 陰虚傾向
  • 弦脈・イライラ → 肝の異常
  • 夢が多い・不眠 → 心神不安

陰虚を基盤とした肝火上擾が疑われます。


弁証(証の決定)

証:肝火上擾陰虚を伴う)

病機としては、

  • 陰虚 → 陽を制御できない
  • 肝火 → 上炎して心神を擾乱

という構造です。


治法の決定

治法:滋陰清熱清肝瀉火安神

  • 陰を補い基盤を整える
  • 肝火を鎮める
  • 心神を安定させる

方剤選択

治法に対応する方剤として、

  • 基本:天王補心丹(滋陰安神)
  • 肝火が強い場合:竜胆瀉肝湯の要素を加味

本症例では、陰虚と火の両面があるため、滋陰安神清熱のバランスが重要です。


配穴設計

■ 主穴(心神安定

■ 病機対応(肝火陰虚

■ 補助穴

→ 構造としては、安神清肝滋陰の三本柱です。


補瀉の使い分け

補瀉併用(虚実錯雑)の典型例です。


全体の流れ(整理)


臨床的ポイント

  • 不眠は単一原因ではなく複合病機が多い
  • 「心」だけでなく肝・腎との関係を重視
  • 陰虚と火のバランスを見極める

このように、四診から得た情報を統合し、一つの病機構造として理解することが、正確な弁証論治につながります。

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