📘 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方剤名 | 芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん) |
| 出典 | 『万病回春』 |
| 分類 | 理血調経剤 |
| 保険適用エキス製剤 | 芎帰調血飲第一加減(ツムラ99、クラシエ99など) |
| 構成生薬 | 当帰・芍薬・川芎・地黄・白朮・茯苓・蒼朮・桂皮・香附子・牛膝・牡丹皮・桃仁・紅花・甘草・生姜・大棗 |
🧭 方意(効能と主治)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 効能 | 補血調血、理気活血、除瘀通経。 |
| 主治 | 血虚と瘀血が並存する月経不順・月経痛・更年期障害など。 |
| 病機 | 血虚により血行が停滞し、瘀血が生じる「虚実夾雑証」。 気滞・血瘀・血虚が錯綜する状態。 |
| 現代的適応 | 月経不順、月経困難、更年期障害、冷え症、肩こり、頭痛、のぼせ、不眠、皮膚乾燥など。 |
🌡 臨床的特徴
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 使用目標(証) | 体力中等度、虚実中間。 血虚・瘀血・気滞を同時に認める。 顔色不良、月経周期不整、月経痛、冷えやのぼせを伴う。 |
| 体質傾向 | 冷えと熱が交錯する体質。血行不良、疲れやすい、精神不安。 |
| 舌診 | やや暗紅、瘀点、薄白苔または薄黄苔。 |
| 脈診 | 細弦、やや渋。 |
💊 構成生薬と作用
| 生薬名 | 主要作用 |
|---|---|
| 当帰・芍薬・川芎・地黄 | 補血・活血作用。四物湯の基礎で血を養い巡らせる。 |
| 白朮・茯苓・蒼朮 | 脾を補い、湿を除く。気血の生化を助ける。 |
| 桂皮・香附子 | 気を巡らせ、寒凝を除く。気滞を解消。 |
| 桃仁・紅花・牡丹皮・牛膝 | 活血化瘀、血行促進。瘀血を除いて痛みを止める。 |
| 甘草・生姜・大棗 | 諸薬を調和し、脾胃を守る。 |
🩺 現代医学的な理解
- 血液循環促進作用(末梢血流改善)
- ホルモン調整作用(エストロゲン・自律神経系への作用)
- 鎮痛・鎮静作用(PGE抑制・平滑筋緊張緩和)
- 抗炎症・抗酸化作用
- 冷え・のぼせ・自律神経失調の改善
⚠️ 使用上の注意
- 熱証・実証には適さない(のぼせが強い場合は注意)。
- 貧血が強く、著しい虚証では刺激が強すぎることがある。
- 出血傾向(瘀血解除作用があるため)では慎重に使用。
- 体質により胃部不快感を生じる場合は分割服用がよい。
💬 臨床応用例
- 月経不順・月経痛
- 更年期障害(のぼせ・イライラ・不眠)
- 冷えのぼせ・肩こり・頭痛
- 貧血傾向・倦怠感
- 慢性湿疹・肌のくすみなど血行不良に伴う皮膚症状
🌱 類方鑑別
| 比較方剤 | 相違点 |
|---|---|
| 加味逍遙散 | 肝気鬱滞・のぼせ・情緒不安主体。瘀血は軽度。 |
| 温清飲 | 血熱・皮膚炎・のぼせ・不眠など炎症的傾向が強い。 |
| 当帰芍薬散 | 冷えと水滞が中心。瘀血傾向は弱い。 |
| 桂枝茯苓丸 | 血瘀が中心で、虚の要素が少ない。 |
📖 メモ
- 血虚+瘀血+気滞を同時に治す総合的な「婦人調血方」。
- 体質改善を目的に、長期的に用いられることが多い。
- 更年期障害・月経不順・自律神経失調など、幅広く応用可能。
- 「血の道症」の代表処方の一つ。
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