概念
清頭目（せいとうもく）とは、頭部や目に上昇した邪熱や風熱を清めて、頭目の清陽を回復させる治法である。
頭目は清陽の府であり、肝・胆・膀胱経などの経絡が通じている。風熱や肝火、痰濁上擾、気血不和などによって頭目が濁すれば、頭痛・眩暈・目の充血・視力減退などの症状が現れる。
清頭目法はこれらの邪を清し、気血の運行を調えて頭目をすっきりさせることを目的とする。
所属
主に清熱法や疏風法、場合によっては平肝法に属する。
特に肝火上炎・風熱上擾・痰濁上昇・気血失調などに適応する。
効能
- 頭部の熱や鬱滞を除き、頭痛・頭重を軽減する。
- 目の充血やかすみを改善し、視力を明瞭にする。
- 肝火を清め、肝陽上亢による眩暈を鎮める。
- 風熱を散じ、鼻塞や咽喉不快を除く。
- 気血を調え、頭目への栄養を回復させる。
主治
- 風熱上攻：頭痛、発熱、目赤、口苦、咽喉痛。
- 肝火上炎：頭痛、眩暈、目赤腫痛、いらいら。
- 痰濁上擾：頭重、目のかすみ、意識がぼんやり。
- 気血不足：めまい、視力減退、疲労感。
- 腎精不足：老眼、視力低下、頭部のふらつき。
病機
頭目は清陽の上昇によって滋養されるが、風熱・肝火・痰濁などの邪が上擾すると清陽の気が阻まれ、濁陰が上昇する。
また、肝腎不足・気血虚弱によって頭目が栄養を失う場合もある。
清頭目法は、清熱・疏風・平肝・化痰・養血などを組み合わせて、頭目の清明を回復させる。
代表方剤
- 杞菊地黄丸（こぎくじおうがん）：肝腎陰虚、目の疲れ、視力低下。
- 釣藤散（ちょうとうさん）：肝陽上亢、頭痛、めまい。
- 羚角菊花湯（れいかくきっかとう）：風熱上攻、頭痛、目赤。
- 黄連解毒湯（おうれんげどくとう）：実熱上炎、頭目充血、顔面紅潮。
- 滋陰降火湯（じいんこうかとう）：陰虚火旺による目の熱感、眩暈。
臨床応用
- 頭痛・頭重・眩暈・目の充血。
- ドライアイ・眼精疲労・視力低下。
- 高血圧性頭痛や片頭痛。
- 肝火上炎・更年期による頭熱感。
- 慢性の眼疾患（老眼・飛蚊症・白内障初期など）の補助療法。
使用上の注意
- 実熱・風熱には清熱疏風薬を中心に用いる。
- 虚証や陰虚には養血・滋陰薬を併用する。
- 長期の目の疲れは肝腎の補養を重視する。
- 眼疾や高血圧など器質的疾患では現代医学的診断を併用する。
まとめ
清頭目法は、頭部や目に上昇した熱や風を清め、頭目の清明を回復する治法である。
代表方剤には杞菊地黄丸・釣藤散・羚角菊花湯などがあり、肝火清解・疏風平肝・養血明目が要点となる。
頭痛・目赤・眩暈・眼精疲労などに広く応用される。
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