「代表的な方剤とその分類」 では、東洋医学における処方(方剤)を、目的や治法に応じていくつかのグループに分けて整理します。
ここでは代表的なものを挙げ、それぞれの特徴と代表的な処方を紹介します。
発汗剤(解表剤)
体表にとどまる風邪・寒邪を発散して外へ追い出す方剤。
- 葛根湯: 風邪の初期、首や肩のこわばりに用いる
- 麻黄湯: 寒気が強く、発熱・無汗に用いる
清熱剤
体にこもった熱や炎症を冷ます方剤。
- 白虎湯: 高熱・口渇・大汗など、熱が強いときに用いる
- 黄連解毒湯: 体内の熱毒を取り除き、イライラや不眠にも応用される
補益剤
不足している気・血・陰・陽を補う方剤。
- 四君子湯: 気を補い、疲れやすさ・食欲不振に
- 四物湯: 血を補い、貧血や月経不順に
- 八珍湯: 気血両虚に対応し、体力回復に
- 六味地黄丸: 腎陰虚に用いられ、老化や慢性疾患に応用
理気剤
気の巡りを整え、滞りを改善する方剤。
- 半夏厚朴湯: のどの詰まり感、不安感、梅核気に
- 四逆散: 気滞による腹痛・胸脇部の張りに
活血化瘀剤
血の滞り(瘀血)を改善する方剤。
- 桃核承気湯: 瘀血が強く、便秘や月経痛に
- 桂枝茯苓丸: 婦人科領域でよく使われる代表的処方
化痰止咳平喘剤
痰を取り除き、咳や喘息を鎮める方剤。
- 二陳湯: 湿痰による咳や吐き気に
- 麦門冬湯: 乾いた咳、空咳に
利水滲湿剤
体内の余分な水分(湿)を排出する方剤。
- 五苓散: むくみ、めまい、下痢に
- 猪苓湯: 排尿困難や泌尿器系の炎症に
安神剤
心神を安定させ、不眠や不安を改善する方剤。
- 酸棗仁湯: 不眠、動悸、精神不安に
- 天王補心丹: 慢性的な心身の疲れ、不眠に
開竅剤
意識障害や昏迷を改善する方剤(救急的な使用)。
- 至宝丹: 高熱による意識障害に用いられた古典的処方
まとめ
方剤は「治法」を具体的に実現する生薬の組み合わせであり、症状や体質に応じて選ばれます。
発汗・清熱・補益・理気・活血など、分類を理解することで、各処方の使い分けがより明確になります。
0 件のコメント:
コメントを投稿