外邪とは

外邪とは、自然界に存在する病因（六淫など）が体表から侵入し、人体の生理機能を乱す病理要因を指す中医学の基本概念です。
主に皮毛・口鼻を通じて侵入し、体表（表証）から始まり、進行すると臓腑（裏証）へと波及します。

主な種類

• 風邪： 百病の長。変化が速く、上半身・体表を侵しやすい。
• 寒邪： 凝滞・収引の性質を持ち、疼痛や冷えを生じる。
• 暑邪： 熱性・上昇性が強く、発汗・口渇を伴う。
• 湿邪： 重濁・粘滞し、長引きやすい。
• 燥邪： 津液を損傷し、乾燥症状を起こす。
• 火（熱）邪： 炎上・消耗性が強く、内熱を形成する。

病理機転

• 外邪が体表から侵入 → 衛気と抗争。
• 正気が充実していれば発汗などで排出。
• 正気不足や邪が強い場合、表から裏へ伝変。

主な症状

• 悪寒・発熱・頭痛・身体痛
• 鼻水、咽痛、咳嗽
• 発汗異常（無汗・自汗）
• 舌苔の変化（薄白・薄黄など）
• 脈の浮・緊・数など

舌・脈の所見

• 舌： 初期は舌質変化少なく、苔に変化が出やすい
• 脈： 浮脈を基本に、寒で緊、熱で数を呈する

関連する病証との鑑別

• 内生邪： 情志・飲食・虚損など体内由来。
• 正虚邪恋： 正気不足で外邪が排除できない状態。
• 表証： 外邪が体表に留まる段階。
• 半表半裏： 少陽に及んだ状態。

代表的な方剤

• 麻黄湯： 風寒外感・無汗。
• 桂枝湯： 風寒外感・有汗。
• 銀翹散： 風熱外感。
• 藿香正気散： 外感湿邪。

治法

• 解表： 体表の邪を外へ追い出す。
• 祛邪扶正： 邪を除き、正気を守る。
• 因邪制宜： 寒・熱・湿など邪の性質に応じる。

養生の考え方

• 気候変化に応じて衣服を調整する。
• 過労を避け、正気を消耗しない。
• 発症初期は無理をせず休養をとる。
• 汗のかき過ぎ・冷やし過ぎに注意。

まとめ

外邪は、外界から侵入する病因の総称であり、 発症の初期段階を形成する重要な概念です。
早期に適切な解表を行うことで、病邪の深部侵入を防ぎ、 重症化や慢性化を避けることができます。