加齢とは、年齢を重ねることにより、人体の精・気・血・津液および臓腑機能が次第に衰えていく生理的変化を指します。
中医学では加齢そのものは病ではありませんが、正気の漸減により各種病証が生じやすくなる重要な内因と捉えます。
中医学における加齢観
- 腎精の消耗: 成長・生殖・老化を司る腎精が年齢とともに減少。
- 気血の不足: 脾胃機能の低下により生成力が衰える。
- 陰陽の失調: 陰陽の平衡が崩れ、虚熱や虚寒が出現。
- 臓腑機能の低下: 心・肺・肝・脾・腎すべてに影響。
主な病理機転
主な症状
- 疲れやすい、気力低下
- 物忘れ、集中力低下
- 腰膝酸軟、筋力低下
- 聴力・視力の衰え
- 睡眠の質低下、早朝覚醒
- 白髪・脱毛、歯の脆弱化
舌・脈の所見
- 舌: 淡・痩、または紅少苔(陰虚傾向)
- 脈: 細・弱・沈、または虚数
関連する代表的病証
代表的な方剤
治法
養生のポイント
- 過労・夜更かしを避け、腎精の消耗を防ぐ。
- 消化に優しい食事で脾胃を養う。
- 適度な運動で気血循環を保つ。
- 冷え・過度な発汗を避ける。
まとめ
加齢は避けられない生理変化ですが、中医学では「腎精の漸減」を中心とした全身機能低下として体系的に捉えます。
適切な補腎・補気・養血・調和陰陽を行うことで、
老化に伴う不調を緩和し、健やかな加齢を目指すことが可能です。
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