脾虚・腎虚はあるが肝虚・心虚・肺虚とは言わないことについて

東洋医学の弁証論治では、「虚」という言葉はよく使われますが、すべての臓腑で単独に「◯虚」とは言わないのが特徴です。

「◯虚」という表現があるかどうか
  • 脾虚(ひきょ):よく使われる表現。脾の機能低下(運化作用や昇清作用の不足)を総称して指します。脾気虚脾陽虚中気下陥脾不統血などの総称として使うこともあります。
  • 腎虚(じんきょ):同じく代表的。腎の機能低下を総称する表現で、腎気虚腎陽虚腎陰虚腎精不足などに分かれます。
  • 肝虚(かんきょ):一般的には使われません。肝は「余剰を蓄える」「条達する」性質を持つため、虚するときは「肝血虚」「肝陰虚」など具体的に呼びます。単独で「肝虚」とは言わないのが通常です。
  • 心虚(しんきょ):これもあまり使いません。心の虚は「心気虚」「心血虚」「心陰虚」「心陽虚」と具体的に分けて表現します。
  • 肺虚(はいきょ):これも同様で、通常は「肺気虚」「肺陰虚」といった具体的な弁証名になります。

 つまり「腎虚」「脾虚」は総称として独立して用いられるが、「肝虚・心虚・肺虚」は原則存在せず、具体的な虚のタイプで表現します。

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